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京都御苑南東角に鎮座する下御霊神社(しもごりょうじんじゃ)。

下御霊神社は、御霊八所の神、霊元天皇、山崎闇斎(やまざきあんざい)を祀り、疫病災厄から朝廷と都民を守護する神社とされています。

平安時代は、貴族文化が絶頂を迎える裏側で、災害や疫病の流行が繰り返し起こった不安な時代もありました。医学や科学が未発達の時代において、当時の人々は次々に起こる災いの原因を貴人の怨霊がもたらすものと考え、御霊(ごりょう)として祀り慰め申し上げることにより、災禍からお守りいただこうと御霊会(ごりょうえ)を行うようになったようです。

御霊会ははじめ、京の洛外各地で御霊が祀られていましたが、後にまとめて八所御霊としてお祀りすることで御神徳が高まると考えられ、洛中に下御霊神社が創建されたと考えられています。

平安時代当時の疫病に、咳逆(新型インフルエンザのようなもの?)・天然痘・赤痢などが挙げられ、医学が未発達だった当時、多くの人が亡くなりました。さらに最大の都市・平安京において、人口密度に比例して感染力も凄まじく、全くなす術が無かっただけに、人々は疫病に怖れおののき、切なる願いから御霊信仰が広まっていっただろう、とされています。

科学技術や医学が飛躍的に進歩した現代の文明社会においても、われわれ人類は疫病の脅威からなかなか解放されませんね。それどころか、HIV、鳥インフル、SARS、そして新型コロナウイルス肺炎など、次から次へと新しい疫病が生まれています。最も今では、ワクチンや特効薬も開発されてて、致死率の低下も現実的に可能ではありますが。今般の新型コロナ災禍が引き起こす社会混乱の中、下御霊神社の創建に至る歴史的背景には深いものを感ぜざるを得ません。

トップの画像は2004年早春、寺町通をぶらり撮り歩いていたときのもの。あまり深く思いもせずに御霊神社の境内を撮らせていただきましたが、創建の由緒と歴史的背景を調べてみると、まさに今の新型コロナ騒ぎの社会情勢と重なるものがあると見えます。