兵庫県丹波篠山市(旧・西紀町)栗柄(くりから)にて。

舞鶴若狭道・丹南篠山口ICあるいはR176から、兵庫/京都r97【篠山三和線】を北東へ5kmほどの地点ですが、ここは地理的に興味深いポイント。それは「谷中分水界」という珍しい地形にあります。

谷中分水界とは、同一の谷間集落内に水系の異なる河川が共存する地形、と言えばわかりやすいでしょうか? すなわち、瀬戸内海(太平洋側)に注ぐ加古川水系・宮田川と、日本海側に注ぐ由良川水系・杉ヶ谷川が、共に狭い栗柄集落を流れており(両河川の間隔は約百数十米!)、不明瞭な中央分水界を形成しているわけです。

谷中分水界では河川争奪という地理的現象が起きやすいと言われます。河川争奪とは、隣接する2つの河川について、一方の河川の谷頭が浸食等により上流へ伸びて、別の水系に達し、そこから上流の流域を全て奪う、という現象です。

栗柄集落の2つの川は、約2万年前、河川争奪によって形成されたと言われています。

宮田川の流路はr97に並行して南西方向へ流れ、R176交点(丹南橋)付近で篠山川に合流。JR福知山線(進行方向は福知山行きに!)に沿って景勝・川代渓谷を刻み、西脇市黒田庄町付近で加古川に合流し、瀬戸内海(播磨灘)へ南下します。

一方、杉ヶ谷川は、栗柄ダムから南へ下り、宮田川に合流するのがごく自然な形と思われますが、流路方向を突如西へ転じ、r97と分岐するr69【春日栗柄線】に並行、丹波市(旧・春日町ほか)で竹田川、そして京都府福知山市で由良川に合流ののち、丹後由良にて若狭湾へ注ぎます。杉ヶ谷上流は、もともと宮田川(加古川水系)の流域に属していたものと考えられますね。

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隣の丹波市に「水分れ」という地名があり、日本で一番標高の低い中央分水界として知られる地点です。