よく「教養を学ぶ」「教養を身につける」という言い方をします。

大学教育においても、専門課程・科目の「対義語」として、教養課程・科目などと言われますね。日本では数少ない「教養学部」も「教養科目を中心に学ぶ」ところだと認識されていることでしょう。

「専門」とは、数学・物理・工学・医学・看護・経済学・法律・政治・歴史・文学・社会福祉その他、一つの分野やテーマを「狭く深く」掘り下げるもの、あるいは特定の技術・技能を高めるものということはイメージしやすいでしょう。これに対して、「教養」は「広く浅く」学ぶというイメージで捉えられるのが一般的だと思われます。そして、特に現代社会において、「教養」よりも「専門」が高く評価されやすいのも事実。

反面、「専門馬鹿」という言葉もあるように、特定の専門分野に偏ったり、あるいは「目先の実利」ばかりを重視する教育の弊害も社会問題となっており、「教養教育がおろそかになっている」ことを憂う知識人や文化人も少なくないでしょう。また、実社会において、学生時代の専門分野のみではなく、他の分野の幅広い知識を身につける必要に迫られることは、別に珍しいことではありません。

「専門」の英語は"specialty"、"specialist"(専門家)であるのに対して、「教養」の適切な英語は何でしょうか? 「教養」の直訳として"culture"、"refinement"、"education"などが挙げられます。「教養課程」の英訳として"a general education course"があります。一方、"specialist"に対する語は"generalist"のようです。"generalist"とは「多方面の知識を持つ人」「博学な人」「万能家」の意味を持ちます。

したがって、「専門」の対義語としての「教養」とは、「多方面の知識」「博学」のことを言うようですね。

では、「教養を学ぶ」「教養を身につける」には、どうすればよいのでしょうか? 

それは、正直掴みどころがなく、実は「専門を学ぶ」「専門的スキルを身につける」以上に難しいものかもしれません。

「教養の学び方」の一つとして、脳科学者・茂木健一郎氏の『脳がめざめる「教養」』を挙げておきました。


脳がめざめる「教養」
茂木健一郎
日本実業出版社
2019-09-13